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相続のしくみ

日本では毎年90万人前後の人が亡くなっていますが、そのうち相続税の申告件数は5万件程度です。
さらに相続税の申告は必要でも相続税の納付義務はない場合もかなりありますので、多くの人にとって相続税は関係がないと言えるでしょう(税務面)。
また、家族関係があまりにも複雑な家庭環境にあるケースというのも稀でしょう(法務面)。
しかし一般に販売されている相続に関する各種の書籍や、各種相続相談会・TV相談などでは“資産家”や“強欲な相続人”が登場する相続を例にとるケースが多く、あまり普通の人(多くの人)の相続の参考になるものではないことが多々あります。

この「相続のしくみ」のページは、普通の人の相続を考えるために作成しました。
そのため、刺激的な内容ではありませんが普通の人、普通の家庭には役に立つ内容だと考えています。

普通の家庭の相続でも問題が発生するケースがあります。
何らの問題もないケースの方が稀かもしれません。
しかし、「自分(家族)にとっての相続」を理解し、少しの手続きにより問題の予防・解決が図れる場合も多く見受けられます。

この「相続のしくみ」のページが「自分(家族)にとっての相続」を理解する一助になれば幸いです。

相続の三面等価

Ⅰ.分割面

  1. 自分の意思による遺産分割 →“遺言”
  2. 相続人の意思による遺産分割 →“遺産分割協議書”
  3. 法の規定による遺産分割 →“法定相続分による遺産分割”

※優先順位… 1 > 2 > 3

Ⅱ.税金面

  1. そのままの『相続税試算』
  2. 小規模宅地の評価減と配偶者控除を適用後の『相続税試算』
  3. 法定相続によらない場合の『相続税試算』

Ⅲ.資産設計(自分のこれからのこと)

  1. これからの生活を考える
  2. 資産内容を考える

相続について考えるとき、大切なことは上記Ⅰ~Ⅲのバランスを取ることです。
相続は人により様々です。
資産状況、家族関係、自分の将来に対する考え方などはそれぞれに違います。
まず最初に自分にとっての相続を確認することから始め、全体を見渡してから必要な手続き、希望に沿った手続きを行うための一助になれば、とこのページを作成しました。

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もくじ

  1. 相続の意味
    …財産目録(価額調査)
  2. 相続人
    …推定相続人の調査
  3. 相続分
    …推定相続人の調査
  4. 遺産分割の方法
    …遺産分割協議書
  5. 相続税
    …相続税試算
  6. 遺言
    …自筆証書遺言
    …秘密証書遺言
    …公正証書遺言
    …死因贈与契約書
  7. 遺産分割協議
    …遺産分割協議書

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1.相続の意味

 相続は、ある人が亡くなった場合、その亡くなった人(被相続人)が持っていた財産全部を一定の範囲の親族に引き継がせることです。
この財産全部とは不動産や家財、現金預貯金、株式などのプラス財産(積極財産)ばかりでなく、借入金や未納の税金(準確定申告など)もふくまれます。

※ここでの注意

相続税を気にするあまり、財産を少なく見積もるケースがあります。
名義がどうなっているかではなく、実際誰のものなのかで判断することが大切です。
また、相続財産を少なくするために贈与を考えるケースが見受けられます。
しかし相続税の基礎控除は最低で5000万円ですが贈与税の基礎控除は110万円しかありませんので、かえって税負担を増加することになりかねません。
また、安易・急激に財産を減少させる行為は遺留分減殺請求など後々無用なトラブルを生む可能性もあります。

相続のあれこれ ~借金してアパート建築~

相続(予定)財産価額の引下げ策として、更地になっている土地がある場合に借入金でアパートを建築することによって評価額を引き下げる、というものがあります。

  • メリット
    ・更地になっている土地の相続税評価額を下げられる。
    ・債務控除の活用により相続税の対象になる遺産の総額を下げられる。
  • デメリット
    ・事業としての収支が合わなければ借入金の返済が負担に…
    ・資産として活用することが難しくなるため、相続発生時に分割方法がまとまらなくなるかも…
  • 疑問点
    ・相続税負担は本当に発生するのか?
更地(評価額2億円、借地権割合70%・借家権割合30%地域))に5000万円(全額借入)の建物(アパート)を建てた場合の評価額
  • 更地での評価額 = 2億円
  • アパートとしての評価
    土地 = 2億円×(1-70%×30%)= 1億5800万円(貸家建付地)
    建物 = 5000万円×60%(固定資産税評価)×70% = 2100万円
    土地+建物 = 1億5800万円+2100万円 = 1億7900万円
  • 相続財産としての評価
    1億7900万円-5000万円(借入金) = 1億2900万円

アパート建築で相続財産圧縮のイメージ

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2.相続人

相続人は、相続の開始により被相続人の財産を受け継ぐ一定の範囲の人をいい、民法にその定めがあります。

法定相続人

※配偶者は常に法定相続人となる

  1. 第1順位…子(非嫡出児、胎児、養子も含む)
  2. 第2順位…直系尊属(養父母も含む)
  3. 第3順位…兄弟姉妹(代襲相続は兄弟姉妹の子まで)

ここでいう順位とは、上の順位の相続人がいれば下の順位の人は相続人にならない、ということです。
被相続人に配偶者と子がいれば、親や兄弟姉妹は相続人になりません。
しかし、被相続人に子がなく親もすでに亡くなっている場合には相続人には被相続人の兄弟姉妹が含まれ、その兄弟姉妹が亡くなっている場合には兄弟姉妹の子が相続人になります。
夫婦間に子がない場合、遺された配偶者にとって被相続人の兄弟姉妹やその子たちとの遺産分割協議には大きな労力がかかることがあります。
もし配偶者に全財産を渡すことを希望する場合は、事前に手続きを踏んでおく必要があります。

相続のあれこれ ~遺された配偶者の悲劇~

一見何のトラブルもないごく普通のご家庭であっても相続にまつわるトラブル、困りごとを抱えてしまう例がよくあります。
手続きを取っておけばよかったもの、手続きを先延ばしにしたために却ってこじれたもの、無用の対策を取ったために却ってトラブルになってしまったものなど、相続にまつわるトラブル、困りごとには様々なカタチがあります。
通常、トラブルに直面し最も苦労するのは遺された配偶者です。

先延ばしにしていたために手続きが煩雑化?
Aさんは20年前にご主人が亡くなった際、自宅を相続することを長男、次男から口頭で承諾してもらったが、その後手続きを取ることなく年数が経過。
その間に次男が幼児を遺して死亡。
自宅の名義をAさんに変更するには次男の嫁の同意が必要になるうえ、幼児である孫には特別代理人を選任し、その同意も得なくてはならない…

残された配偶者の悲劇01

夫と築き上げた家に住むことができない?
Aさんはご主人が亡くなった際に「ゆくゆくは…」と考え、自宅を息子名義にした。
しかし、その息子さんも若くして病死。
自宅は相続財産として息子の嫁と孫の物に。
元々折り合いの悪い嫁は「売却するから出て行って!もしくは家賃を払って」と言い出した…

残された配偶者の悲劇02

法定相続人が数十人?
Aさん夫婦には子供がなく、Aさん・ご主人ともにすでに親は亡くなっている。
この度ご主人が亡くなり遺産分割協議が必要になった。
自宅の名義を変更するには、法定相続人であるAさん、ご主人の兄弟姉妹の全員での協議・同意が必要となるが、ご主人には兄弟姉妹が多く、その中にはすでに亡くなっている方や音信不通の方もいる。
結局、法定相続人は多数に上り、全員の同意を得ることは無理だと思える状況…

遺された配偶者の悲劇03

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3.相続分

相続分とは、遺産を相続する共同相続人各員の相続する割合をいいます。

  1. 遺言により指定 → 遺言に書かれた相続分の指定による
  2. 遺言がない場合 → 法定相続分

法定相続分一覧

配偶者有・子有
配偶者 ⇒ 2分の1
子 ⇒ 2分の1
配偶者無・子有
子 ⇒ 全部
配偶者有・子無・親有
配偶者 ⇒ 3分の2
親 ⇒ 3分の1
配偶者無・子無・親有
親 ⇒ 全部
配偶者有・子無・親無・兄弟姉妹有
配偶者 ⇒ 4分の3
兄弟姉妹 ⇒ 4分の1
配偶者無・子無・親無・兄弟姉妹有
兄弟姉妹 ⇒ 全部
配偶者有・子無・親無・兄弟姉妹無
配偶者 ⇒ 全部
配偶者無・子無・親無・兄弟姉妹無
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4.遺産分割の方法

遺言のない相続の場合、相続人間で遺産の分割について協議を行います。
この遺産分割協議の結果、各相続人の取得割合が法定相続分と一致していなくても構いません。
1人が全てを相続するものでも、1人だけが何も相続しないものでも、相続人全員が合意するのであれば全く問題ありません。
遺産は相続人同士の合意があればどのような割合で分けても構いません。

しかし相続財産が全て金融資産(預貯金等)であれば分割することも可能ですが、財産の全てが金融資産である、という人はあまりいません。
逆に、金融資産は少なく財産のほとんどが自宅の土地・建物、という方は多くいらっしゃいます。
このような場合の解決方法として、共有名義にする(共有)、売却して現金で分割する(換価分割)、現物を取得した相続人が他の相続人に金銭を支払う(代償分割)などの方法が考えられますが、それぞれに長所・短所があり、事情に合わせてよく考えなければなりません。

相続のあれこれ ~自宅が全財産~

<事例>
父の死亡時に自宅は全面的に母が相続。
その後長男夫婦が当該自宅に同居し、母と生活を共にしてきた。
この度、母が亡くなり、遺産として当該自宅のみが残された。
遺言は無い。
長男は生活の拠点がこの自宅であることから、この自宅を相続することを望んでいる。
この事例では、長男・次男2名の相続人間で、遺産である自宅の分割方法を考える必要があります。

遺産は自宅のみのイメージ

  1. 共有
    とりあえず、長男・次男の2名での共有とする方法があります。
    しかしながら、長男にとっては生活の拠点である自宅の名義の一部を次男が持つのは安定感に欠けますし、次男にとっては事実上使用できない不動産の名義を持つことのリスクもあります。
    長男・次男に子があれば、将来的には不動産の持分を相続する可能性もあり、不動産名義人が多数になって使用・処分に支障をきたすことも考えられます。
  2. 換価分割
    売却してその金銭を分割する方法です。
    売却が可能であるのか、可能だとすればその金額について異存はないのか、手続の進行手順について問題はないか、税金上の手当てはできているのか、などの問題があります。
  3. 代償分割
    自宅は長男が相続し、次男に対してその相続分に対応する(次男が納得する)金銭を支払う、という方法があります。
    自宅の価値によっては長男に相応の負担が出ます。
    その負担に納得できるか、実際に手当てができるかが問題となります。
  4. 長男が相続
    相続財産がこの自宅のみであることから、次男は何も相続できないことになります。
    次男が何も相続しないことに納得できるのか、が問題となります。

事前のコンセンサス・遺言の活用が重要

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5.相続税

相続税とは、亡くなった人の財産を相続や遺贈によって取得した相続人や受遺者にかかる税金です。
計算方法はそれほど複雑ではありません。
申告期限・納期は被相続人の死亡日の翌日から10カ月以内となっています。
金銭で一時に納付するのが原則ですが、延納や物納という制度もあります。

※自宅と配偶者と基礎控除 ~相続税負担軽減の大きな柱~

  1. 小規模宅地等の評価減(自宅)
    配偶者が取得すれば、240㎡まで80%評価減
    同居していない親族が取得すれば、200㎡まで50%評価減
  2. 配偶者の税額軽減
    配偶者の相続税は、配偶者が取得した遺産が
    ・1億6000万円
    ・法定相続分相当額
    の多い方に至るまで部分については負担なし
  3. 相続税の基礎控除
    5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)

ポイント!

相続税に関心のある方はたいへん多いようです。
「相続税対策」を最優先に相続を考える方もいらっしゃいます。
また逆に相続税について全く関心のない方もいらっしゃいます。
しかし、相続トラブルの原因がこの相続税への過度の関心・対策、或いはまったくの無関心に起因するケースもありますので注意が必要です。

確認しておきましょう

相続財産とは?
亡くなった方の持っていた財産です。
相続財産には不動産、現金預貯金、債券、債権等はもちろん、借金などのマイナス財産も含まれます。
また、相続税においては相続人のうけとった生命保険なども相続財産に含まれます。
本当に相続税が発生するの?
相続税の基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人」です。
相続財産がこの額を下回っていれば相続税は発生しません。
法定相続人が多ければ基礎控除額も多くなりますが、養子については法定相続人数の計算上、一定の制限があります。
また、自宅と配偶者には一定の優遇措置があります。
相続税の負担があるからといって、相続税対策を行っていよいの…?
相続税の対策として事前に準備をしておくことは通常行われていることです。
ただし、過度・急激な相続税対策は税務署に否認される恐れもありますし、なにより余計な借入金などが要らぬトラブルを招き寄せることがあります。
相続税の心配がないから、何もしなくて良いの?
小規模宅地の評価減、配偶者の税額軽減などにより相続税の負担が発生しなくても、これらの適用を受けるためには、原則として期限内に遺産分割、相続税申告をすることが必要になります。

相続税の計算方法

  1. 各人の相続財産取得額に、みなし相続財産などの加算、葬儀費用などの債務控除の減算を行い、各人の課税価格を算出します。
  2. 各人の課税価格の合計額を計算し、ここから基礎控除(5000万円+1000万円×法定相続人の数)を差し引き、課税遺産総額を計算します。
  3. 課税遺産総額を民法に定める法定相続分で分割したと仮定して、各相続人の取得金額を算出します。
  4. 各相続人ごとに前段の取得金額に税率を乗じて、各相続人ごとの算出税額を計算します。
  5. 各相続人の算出税額を合計し、相続税の総額を算出します。
  6. 相続税の総額を、実際に取得した財産取得額の割合に応じて案分し、各相続人の税額を算出します。
  7. 各相続人の税額に相続人ごとの事情による加減算を行い、各相続人の納付すべき相続税額を算出します。

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6.遺言

自分が死んだあとの財産の行方や近親者の将来を心配して、何らかの方策を取っておきたいと考えるのは自然なことであり、遺された方々が亡くなった方のご遺志になるべく従いたいと考えたりすることもまた、当然なことでしょう。
これらのことを実現するため、民法で遺言の制度が定められています。
遺言者の希望や方策を実現するためのものですから、その内容は基本的に遺言者の自由ですが、遺留分への配慮は必要となるでしょう。
また、遺言者が亡くなった後で効力を発揮し内容に不明な点があっても本人への確認が不可能なことから、様式が厳格に定められ、様式を満たさないものは無効とされます。

遺言の種類

  • 自筆証書遺言
    秘密性 ⇒ ○  確実性 ⇒ ×
  • 秘密証書遺言
    秘密性 ⇒ △  確実性 ⇒ △
  • 公正証書遺言
    秘密性 ⇒ ×  確実性 ⇒ ○

遺留分とは?

「遺留分」とは、被相続人の配偶者や子など、遺族の最低限の生活保障のために認められた、相続財産の一定割合を取り戻すことができる制度です。

  • 法定相続人が子、配偶者、配偶者と直系尊属
    遺留分は財産の2分の1
  • 法定相続人が直系尊属のみ
    遺留分は財産の3分の1
  • 法定相続人が兄弟姉妹のみ
    遺留分無し

遺留分の対象財産は?

相続発生時の財産相続発生前1年以内の贈与悪意の贈与・共同相続人への贈与総債務額』となります。

具体的に考えてみましょう

遺言書の作成の前に以下を確認しておきましょう。

  1. 推定相続人の確認
    まず、誰が相続人となるかを確認します。(推定相続人の調査)
  2. 法定相続分の考慮
    推定相続人の法定相続分・遺留分を考慮します。
  3. 財産目録の作成
    積極財産・消極財産の現時点での集計。
  4. 財産価額の現時点評価
    財産の相続税評価試算
  5. 相続税の試算
    相続税の現時点での試算

遺言の作成

遺言は作成した本人が亡くなった後に有効になるものです。
「子供達で仲良く分けろ」といった抽象的な表現は諍いの元となりますので、「○○は誰々へ、××は誰々へ」といった具合に具体的に明確に記載すべきです。
また、預貯金・現金については生活の中で増減するものですから、分け方を『金額』で指定するよりは『割合』で指定したほうが心理的負担も少なくなります。

遺言の内容について法的に有効となるものは、民法に規定があり、財産に関するもの、身分に関するものなど一定の範囲に限られます。
もちろん、「みんなで仲良く暮らしてね」などの希望や感謝の念などを記載することは一向に構いませんが、当然ながらこれらが法的な効力を持つことはありません。

遺言書の記載内容

  1. 認知(民法第781条)
  2. 未成年後見人の指定(民法第839条、第848条)
  3. 遺贈(民法第964条)
  4. 相続分の指定(民法第902条)
  5. 相続人の廃除(民法第893条)
  6. 排除の取り消し(民法第894条)
  7. 遺産分割方法の指定(民法第908条)
  8. 遺言執行者の指定(民法第1006条)
  9. その他負担付遺贈、条件付遺贈など

相続のあれこれ ~(負担付)死因贈与契約~

遺言とは違いますが、同じような効果を持つ物として「死因贈与契約」があります。
これは、「贈与の時期は贈与する者の死亡時」として贈与契約を結ぶものです。
遺言は破棄や書き直しができますから、財産を引き継ぐ側は不安定な状態に置かれますが、死因贈与契約は「契約」ですから一方的な破棄はできません。
また、負担付きといって贈与を受ける者の側にも一定の義務(生活の面倒を見る、など)を課することによって、贈与を受ける者と受けない者との不公平感も緩和することが可能です。

死因贈与契約のメリット
  1. 遺言書の取り合いを防止できる
  2. 始期付所有権移転仮登記が可能となる

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7.遺産分割協議

被相続人が遺言を遺さずに死亡した場合、相続財産はいったん相続人全員の共有となります。
その後、相続人全員の協議により遺産分割を行います。
相続人全員が分割案に同意することが必要です。
全員が分割案に同意できるなら「一人の相続人が全て」でも問題ありませんが、一人でも合意を得られない場合分割案は成立しません。

全員の合意ができたならば、遺産分割協議書を作成します。
これは不動産の名義変更など、実務上の名義変更にも必要になります。

遺産分割協議書(例)

遺産分割協議書

平成●●年○月×日、甲川一郎の死亡により開始した相続について、共同相続人である甲川次郎、甲川三郎、乙山花子は、その相続財産について分割の協議を行い、後記のとおり資産を分割し取得することに決定した。

被相続人 甲川一郎
本籍  東京都新宿区○○町三四五
最後の住所 埼玉県新座市◎◎町3-4-5

1.甲川次郎が取得する財産
(1)○○市○○町○○番地所在 宅地250平方メートル
(2)同所同番地 家屋番号5番 木造平屋建1棟 床面積150平方メートル
(3)同上 居宅内にある家財道具一式
(4)○○株式会社の株式 5万株
(5)現金500,211円
(6)その他被相続人にかかわる一切の財産

2.甲川三郎が取得する財産
(1)株式会社○○の株式 3万株
(2)○○銀行の定期預金 500万円
(3)ゴルフ会員権 ○○カントリークラブ会員権 1コ

3.乙山花子が取得する財産
(1)○○市○○町○○番地所在 宅地200㎡
(2)現金300,000円

4.甲山次郎は、甲川一郎の次の債務を承継する。
(1)○○銀行からの借入金 300万円
(2)その他被相続人に係る一切の債務


遺産分割協議書作成のながれ

  1. 相続人の確定
    まず、誰が相続人なのかを確認します。
    戸籍を確認した結果、家族の知らない相続人が出てくることも稀にあります。
  2. 法定相続分の考慮
    相続人ごとの法定相続分を確認します。
  3. 遺産目録の作成
    積極財産・消極財産の集計を行います。
  4. 遺産価額の現時点評価
    遺産の相続税評価を試算します。
  5. 相続税の検討
    相続税の申告が必要かを検討します。
  6. 遺産分割協議
    遺産の分割について話し合います。
    以下の点について考慮する必要があります。
    1. 一切の事情の考慮(民法第906条)
    2. 共有・換価分割・代償分割
    3. 特別受益者の相続分(民法第903条)
    4. 特別寄与者の相続分(民法904条第2項)
    5. 単純承認(民法第920条)
    6. 限定承認(民法第923条)
    7. 相続放棄(民法第938条)→家庭裁判所
    8. 遺産分割調停 →家庭裁判所
    9. ※3年以内の贈与財産の課税財産加算
  7. 遺産分割協議書作成
    相続人全員の同意・捺印を要す。
    場合によっては公正証書化することも。

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